東京・多摩地区の市立図書館

「絵本の時間・おはなしの時間」

 

かつて東京・多摩地区は最も進んだ図書館活動の地区と言われ、その中心の一つが児童サービスでした。中でも、絵本の読み聞かせをする「絵本の時間」、素語りやストーリーテリングをする「おはなしの時間」は重要と位置づけられ、今日、全国的に広まっています。現在のそれらはどうなっているか、比較してみました。

 

東京・多摩地区全市の実施状況はこちら

 

(下の表の11番目以下も含んだ表など、プリントした資料の必要な方は「その他・リンク」から、メールでご連絡ください。)

 

優れた活動をしている市立図書館

 

市名

年間回数

毎週決まった曜日・時刻の会の数

1

国立市

 712

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

2

調布市

 685

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

3

稲城市

 *576

◎◎◎◎◎◎□□□□□

4

小平市

 451

◎◎

5

多摩市

 443

◎◎◎□

6

立川市

 409

◎◎◎◎◎□

7

西東京市

 378

◎◎□

8

町田市

 *362

◎□□

9

府中市

 348

10

東村山市

 268

□□□□

 

 ◎ 毎週同じ曜日・時間に開かれている「絵本やおはなしの時間」

 

 □ 毎週同じ曜日・時間に開かれるのが月3回以上の「絵本やおはなしの時間」

 

 * ホームページ上に「業務報告」などがなく、お知らせ欄から「絵本の時間」などを

   数えた数値 (実際より少し多い可能性あり)。

 

 

 

 

<まとめ>

 かつて東京・多摩地区は、図書館活動の最も進んだ地区といわれました。そしてその中心の一つが児童サービスでした。 貸出・資料提供だけでなく「絵本やおはなしの時間」なども大切と考えられ、それは全国で広まっていきました。 ここでは多摩地区市立図書館での「絵本やおはなしの時間」の現状を見てみます。まとめるにあたって考えたのは次のような事でした。

 

(1) 図書館で定期的に開かれる会であること。

 「絵本の読み聞かせ」の重要さは広まってきましたが、 まだまだ、家庭などで読んでもらえていない子どもたちも多いと思います。それら子どもたち誰でもが、聞きたいと思ったら聞きに行くことができるのが「図書館で定期的に行われている会」です。

 図書館以外の施設へ出かけて行っておこなう会もあります。それも重要と思いますが、それは子どもたち誰でも聞きたいと思った時に聞けるものではありません。統計を見ていただければ、おわかりのように、絵本の時間や素語り(=ストーリーテリング)が最も盛んな「くにたち図書館」では、 例えば小学校のクラスに年間150回以上、素語りに出かけています。 それらを加えますと、一年間900回近い会が開かれていることになりますが、今回、上記のような趣旨から図書館以外のものは省略しました。

 

(2) 毎週同じ曜日・同じ時刻に開かれる会が重要。

 別表の通り「毎週水曜日午後3時から」というように毎週定期化している図書館ほど、 活発に活動していることがわかります。「月1回」「第2水曜日」とか「第24水曜日午後3時から」 というのでは、残念ながら、子どもたちに定着しづらいことがわかると思います。

 

(3) 素語り(ストーリーテリング)がより充実するように。

 名称として「おはなし会」という言葉がよく使われていますが、 その内容は絵本の読み聞かせや紙芝居だったりする例が多いようです。できれば「おはなし会」という時、素語り(ストーリーテリング)すなわち「おはなし」を中心とした会にして、それらをより充実する必要があると思います。素語りは絵本から読書(一人読み)に移行する年齢(学齢前後)の子どもたちにとても重要です。絵本を読んでもらっても読書にうまく移行できない子どもたちが多い時期だからです


(4)市民のボランティアの方々との協力強化を。

 図書館の児童担当者は、絵本だけでなく素語りもできなければならないと言われています。かつて日本図書館協会の児童図書館員養成講座で「素語り」は必須でした。しかし、子どもたちへ絵本の読み聞かせだけでなく素語りもするとなると、職員だけでは十分こなせないというのが実情ではないでしょうか? そこで、図書館員だけでなくボランティアの方々と協力してこれらの会を展開していく必要があると思います。

 現在、多くの図書館でボランティアの方々が活躍されています。養成講座を開いている図書館もありますし、高い技術・能力を持っている市民の方々も多いと思います。図書館はそうした方々と協力して、子供たちに「絵本や素語り」を聞ける場所をたくさん作って行く必要があると思います。 またそうしたボランティアの方々が、図書館への一番の理解者になってくれることでしょう。

 私たち子どもの本、また図書館児童室に関わる者は、子どもたちの心の伸びやかな成長のために、絵本の読み聞かせや素語りの能力・技術を高め、豊かな物語世界・ことばの世界を提供しなければならないし、 多くの人たちとも協力関係を広げていかなければならないと思います。

 

 

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