『パリからの旅』『パリからの手紙』を読んで以来、堀内誠一さんがパリ滞在中、どこに住み、どんな生活をされていたのか、大変興味がありました。
どこに住んでいたかは、往復書簡『旅の仲間』に、澁澤龍彦さんからの葉書が載っていて、パリの住所が書かれていたのでわかりました。googleにその住所を入れると、パリ南部アントニーのアパートが現れました。いつか行ってみたい。できれば、近くに宿をとって暮らしてみたいと思っていました。
しかし、どのような生活をしているのか詳しくは分かりませんでした。そこへこの本です。あのアパートの写真も載っていましたし、私の知りたいと思っていた事は、120%載っていました。ご夫婦の様子、お二人のお嬢さんの生活、訪ねてこられたそうそうたる方々との交流、まさに私の求めていた本でした。
写真も多く使用され、アパートの室内が何か日本のアパートの室内のような感じがして安心したり、そこでの堀内さんの仕事ぶりがわかったり、著者の花子さんの苦闘ぶりが垣間見られたり、パリでの生活がありありと描かれています。また、堀内さんの性格や日常の様子をちょっと知ることができたようにも思いました。
今は、パリに行って、その近くに宿をとってという思いは、本のおかげもあって薄れましたが、1度は行って、アパートの前に立ってみたいと思っています。
しかし、こちらの年齢と、この円安がそれを拒んでいます。パリも、ウクライナの戦争などあって物価高、加えて、この円安です。パリの人も大変だろうと思ったら「大丈夫よ、フランスの人たちの給料、30%上がっているから」とのこと。この本の時代と違って、日本人の生活が貧しくなっていることを実感させられる今日この頃です。