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日野市事務報告書 昭和40年

 

市役所がどのような仕事をしているかを知る資料として、まず考えられるのが、年度ごとに出される「事務報告書」です。

ちょっと知りたいことがあって『日野市事務報告書 昭和40年』(画像)を借りました。1965年のものです。

借り出して、ページをめくっていて、あることに気が付きました。この年は、日野市の図書館の始まりの年だったのです。と言うより、日本の今日の公立図書館が始まった年と言って良いでしょう。

この事務報告書を見ていると、その前年、昭和39年版には全く記述がなかったのですが、この40年版にB5判1枚裏表(つまり2ページ)で初めて市立図書館のことが載っています。

「昭和46年6月20日図書館設置条例制定、9月21日移動図書館による奉仕事業を開始」とあります。その2ページの半分以上が、47カ所の移動図書館駐車場での3ヶ月間(9月21日から12月17日)の登録者数と貸出冊数の表でした。まさに、住民の身近なところへ図書館が出て行って、そこから図書館を作っていくという考え方が、日本で初めてのスタートしたのです。

 

そして、この事務報告書で、もう一つ見落としてならないのは、最後の方「選挙管理委員会事務局」のページです。213ページに、同年8月27日に開票された市長選の結果が載っています。

 「有山崧(無所属)当選」

有山さんは、対立候補者(日本社会党)をおさえて、市長に当選しています。日野市の図書館を考える時、有山さんの名前を忘れることはできません。有山さんについては、『有山崧(個人別図書館論選書)』(前川恒雄/編 日本図書館協会刊 1990年)をご覧ください。

また、この当時の日野市立図書館の活動をまとめた『業務報告 昭和40・41年度』が、日野市立図書館ホームページの電子版で見られます。その中でも、多摩平地区にあった都電の車両を使った「児童図書館」は、今後に活かせたら、と切に思います。