発行者の「くにたちお話の会」は、東京・国立市で長年活動されている、お話を語る市民の方々の集まりです。
その会が、子どもたちへのお話(ストーリーテリング)を、大人の人にも聞いてもらえるように、と始まった毎月一回のお話会が、500回を超えた記念誌です。
くにたちお話の会の発足は、1967年。「大人のためのお話会」が始まったのが、1972年。 50回ごとにその記録をまとめて出版してきたようですが、今回はその500回。半世紀の集大成です。
ページを開くと、まず献詞があります。
「故松岡享子先生 感謝を込めて」
この記念誌には、発足当初からの語り手の方の回想も載っていて、会のスタートに、松岡享子さんが深く関わっていたことがわかります。記念誌編集者の一人が「松岡先生がこの国立の地に日本で初めてストーリーテリングの種を蒔かれ」と書かれているように、アメリカから帰国された松岡享子さんが深く関わって、熱心に導かれていったことがいろいろと書かれています。文中に、石井桃子さん、瀬田貞二さん、渡辺茂男さん、中川李枝子さん、いぬいとみこさん、松居直さんらのお名前もあり、さながら、日本の児童文化史の一ページを見るようです。
私のホームページの「東京・多摩地区市立図書館の『絵本の時間・おはなしの時間』の実施状況」を見ていただいてもわかりますように、最も盛んな国立市の図書館を支えてくださっている市民の方々の活動がよくわかる報告になっています。現在でも60人以上の方々が活躍されています。 私は東京多摩地区だけでなく「おはなし会」が日本一行なわれているのは 国立市ではないかと思っています。
ぜひ全国の図書館、特に児童書担当の方々、出版社の方々、子どもの読書に関わる方々に読んでいただきたい記念誌だと思います。
(発行は、表紙にありますように、2023年4月20日です)