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『パリからの旅』堀内誠一

堀内さんの素敵な絵、手書き文字のページも多い、大好きな本。

1990年(元本は1981年刊)に出版され、この頃の通貨はフラン。けれど今も出版されているようです。それだけ、魅力的で今も読む価値十分ありと評価されているのでしょう。

とりあげたいページもたくさんあります。

かつて、6歳だった娘と二人でパリに行き、モンパルナス駅からシャルトルへ行こうとした時のこと。この本のp86に「シャルトル」は発音が難しいから紙に書いて見せるといいとあったのでその通りにしました。「シャルトルまで往復、2等2枚、私は◯歳、娘は6歳」というようなことを書いた紙を、まず、切符売り場ではなく、駅の案内役のアルバイトをしていた若い男女二人組に見せました。そしたら、その男性の方の笑いのツボにハマってしまったらしく、大笑いし始め止まらなくなってしまいました。こちらも冷や汗をかきながら、どうしたらいいのか大変困った、ということがありました。

そんなこともありましたけれど、とにかく「ファッションのブチック紹介など興味のないことはやりません(中略)つまり理想的な旅のお相手のための“旅へのお誘い”です」というこの本。本当に面白い。

(このシャルトルに関するページも含め数ページが『新・ちくま文学の森15 絵のある世界』鶴見俊輔他/編 筑摩書房 1995)にとりあげられています)